母さん、ぼくのあの帽子はどうしたんでせうね? ええ、夏薄いから霧積へいくみちで、渓谷へ落としたあの麦わら帽子ですよ。 母さん、あれは好きな帽子でしたよ。 ぼくはあのときずいぶんくやしかった。 だけど、いきなり風が吹いてきたもんだから。